-貞山運河研究所は、貞山運河の魅力を再発見し、地域振興に活かします-

地域振興と貞山運河

(1)地域の課題
首都圏から遠く離れた地域は、一様に同じいくつかの課題を抱えています。それらを集約しますと、人口減少、高齢化、少ない職場などとなります。地域振興にはこれらの課題の解決が必須となります。この課題を解決する有力な方法の1つは既存の産業を強化するか、新たな産業を興すかです。いずれにしてもこれが実現すれば、職場が増え若い労働人口も増加します。

地域にとって取り組みやすい産業の1つは観光産業です。観光産業は多くの人や産業が関わる裾野の広い産業です。観光産業には観光資源が必要です。多くの地域ではすでに何らかの観光資源を保有して、観光客の誘致に取り組んでいます。しかし、観光資源の魅力が乏しい、規模が小さいなどの理由で、集客に苦労しているところが多いと思われます。

観光産業の重要性を認識している地域では、既存の観光資源の充実や、新たな観光資源の発掘あるいは開発に力を注いでいます。

(2)観光資源としての貞山運河
①観光産業
観光産業は21世紀最大の成長産業と言われています。人間は衣食住が足りると、つぎは旅行への関心をもち始めます。新興国が経済的に豊かになったために、そのような国の人たちが世界中を旅しています。平成25年(2013年)に、訪日外国人が1,000万人を超えたのも、そのような背景があるからです。政府はこの数を2,000万人、3,000万人まで増やし、日本を観光立国にしようと考えています。

地域にとっても観光は重要な産業であり、国内外から観光客を集めることができれば交流人口が増え、地域経済が潤うことになります。日本が観光立国になったとしても、海外からの観光客が首都圏や著名な観光地だけに留まっているのでは意味がありません。地域はそのような観光客を呼び込む工夫と努力が必要です。

観光産業には観光資源が必要ですが、観光資源には自然、歴史遺産、伝統文化、工芸品、食など多様な要素があります。地域には今までその価値が認められてこなかったが、観光資源になりそうな資源が多くあるはずです。地域には、そのような資源を発掘し、観光資源として磨き上げて、有効に活用していく知恵が必要です。

②運河と観光
貞山運河研究所が目指しているのは、貞山運河を観光資源として活用し、地域経済活性化を図ることです。では一般に運河は観光資源になり得るのでしょうか。ここでは運河をめぐる観光産業の可能性について考えてみます。

鉄道が敷設されて大量輸送が可能になるまで、欧米では多くの運河が建設されました。船で港まで運ばれた物資を内陸へ運ぶためにはどうしても運河が必要だったのです。日本でも港を中心にして多くの運河が建設されました。川と川を結ぶためにも運河が使われました。貞山運河の堀はその目的で開削されました。

しかし、鉄道が輸送の主役になると、運河の役割は終わりました。運河は見捨てられた存在となりました。その後、運河を観光やレジャーに生かそうという動きが起りました。

18世紀中ごろ、石炭輸送のために網の目状に建設されたイギリスの運河は再生されて、レジャー用のナローボートが航行できる数千kmの水路として使われています。ベルギーブルージュ

ベルギーの古都ブルージュは中世に毛織物の交易で栄えた都市ですが、町のなかを運河が縫うように走っています。古都を運河の舟で巡る観光が人気となり、多くの観光客が押し寄せています。衰退した都市が運河で蘇るという興味深い例です。
日本での成功例としては小樽運河があります。大正時代に建設されたわずか1.3Kmの小さな運河ですが、周りの倉庫群と合わせて観光資源として開発されました。今では北海道の主要な観光地の1つになっています。

以上の例からも分かりますように、運河は観光資源としての可能性を有していると言えます。運河は歴史遺産という魅力の他に、舟で航行するという動的な観光ができることも魅力です。今後、運河を観光資源として活用する動きがますます広がっていくものと思われます。

③貞山運河と観光
運河は観光資源になり得るということですから、貞山運河も観光資源としての資格が当然あるはずです。貞山運河には前述のように、日本の他の運河には見られない、日本一長い、壮大な歴史遺産である、関わる地域が多く多様な表情をもつ、という際立った特徴があります。貞山運河のように観光資源としてほとんど手付かずのものを、その特徴を活かして、新しい時代の観光資源として育てていくことは大きな意義があると考えます。

宮城県には、松島、三大温泉郷(秋保、作並、鳴子)、蔵王などすでによく知られた観光資源があります。しかし、これらに依存した宮城の観光は、観光客の飽和あるいは減少の傾向がみられ、新たな観光資源の開発が望まれています。貞山運河がタイプの異なる新たな観光資源として加われば、宮城の観光産業の振興に貢献できるのではないかと思われます。

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